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春に、森で、人に会いに。4

最終更新: 2019年5月9日

北海道にある森町(もりまち)。

昼間の桜まつりを楽しむの巻き【その4】


その3はこちら



 この美味しいものを持って帰るには、限度がある。駅弁のいかめしは、賞味期限が当日中。じゃあどうやってわたしの土産を期待している奴らに納得してもらえばいいのか?ということで、道の駅に行くことに。 


道の駅「YOU・遊・もり」…

ユーはーモリマチでーアソブーぜ、という意味か?

 よっしゃよっしゃ遊ぼう。売店へ向かうと、またレトロな雰囲気。

 お店の中で物色していると、あのブランドトマトや、駅弁ではない「いかめし」がいっぱい売っていた。

 保存が効くように作られた美味しい仲間たち。いくつか選びつつも観光案内を見ていたら、あることを知る。森町って「冷凍食品事業」発祥の町らしい。

 イカだけでなく、マグロやブリなどの美味しい魚がたくさん獲れるので、「おい!こんなに旨い魚がたくさん獲れるのはいいけど、どうやって保存すればいいんだよ!あぁ!もうこうするしかねえ!」(ここはあくまでわたしの妄想)と出来上がったのが1920年当時最新の冷凍食品工場。


 そうだったんだ、そうだったんだ!

 どうやらその記念碑もあるらしい。今日は時間がないから行けないけど、今度は工場見学にも行ってみたい。

 それにしても冷凍食品事業発祥の町とは知らなかった。もっと温かい地方で冷凍技術ができたのかなと思ったけど。消費量よりも遥かに収穫量があったからなのね、きっと。そりゃ森町、海の幸は美味しいよね。「森」町なのにね、と可笑しくなる。でも、だからこそ豊富なイカを使って「いかめし」が出来たのか、と色々納得。



 道の駅は3階が展望台になっていて、目の前の「オニウシ公園」の桜が一望できた。その向こうに、魚たちがいっぱい泳ぐ噴火湾の海が見える。

 薄いピンク色の向こうに、水色が広がり、その上に青空。大きく深呼吸したら、イカの匂いがした。気がした。多分妄想。

 桜の匂いと海の匂い。混じったらイカなのか?やっぱり違うな。右方向には駒ヶ岳。ああ、景色的にお腹いっぱい、というくらいコンパクトに森町。いいねココ。


 もう一度深呼吸をしてから階段をとことこ降りる。さくら祭りの会場でもある隣の公園に向かう。

 公園に向かう途中、すぐ近くにあった和菓子屋さんに寄り道した。

 老舗感じるのれんの奥に、小さなお店のスペース。昔ながらの和菓子を大切にしながらも、森町の中で新しいものを追求している姿勢が、さくら祭りと重なる。この時期限定の「さくらあんぱい」。本物の桜の花が使われた、塩味と甘みが引き立つお菓子。

 …正直に言うけどさ。これ、日本酒と食べたい。お茶がいい人は、それがいいけど、わたしは自宅に帰って一口食べてから、おいちょっと待て、と日本酒用意したね。濃い~緑茶か、日本酒だな(個人的感想)。


 それ以外にも北海道の昆布を使った「昆布最中」が有名らしく、わたしが何を買おうか迷っている間に地元の人が「20個」「30個」と買って行く。それほどド定番らしい。ちなみにわたしは美しい上生菓子も買った。

全然日持ちしないけど!!でも食べたかったし!!



 お土産を抱えたまま横断歩道を渡って、ランチを予約している青葉ヶ丘公園に行く。

 昨日、夜に来たけれど、また昼間のそこはいわゆる「おまつり」らしくてすごくいい。開放的で鮮やかで、昨日内緒話をしていた桜の樹々も、今は両手を繋いでフォークダンスしているみたい。

 その間を小さな子供たちも走り抜ける。「kidsチャレンジ」として観光案内をしている男の子、キッチンでお手伝いしている女の子、その向こうは桜の花びら舞う中でマルシェが開催されている。

 旅先でのおまつりというのは、人のおうちにお邪魔しているみたいで、面白い。その土地の独特な空気の中で、受け入れてもらえる心地よさ。


 その空気を存分に味わいながら、わたしは予約しているキッチンバスに向かい、ランチを楽しんだ。スペシャルランチプレート。森町のおいしい食材を使った特別なごはん。シェフは、日によって違う人が腕を振るってくれるので、連日押しかけたい気持ちになる。が、そこは旅の途中。今日だけなので惜しみながら味わおう。




 バスの中で料理されるのが、また興味深い。

 森町の伝統あるさくら祭りの会場に、去年から突如出現したキッチンバス。そこから提供される美味しさに、感動する。

 スープの濃厚さに、はふーっと息を吸い、一緒に頼んだアルコールにはひーっと興奮。ふがふがと鼻息荒いわたしの隣のテーブルにいた、年配の夫婦がつぶやいた。


 「子どものころからいつも遊んでいた公園で、こんなふうに食事ができるとはね」


 そう言った奥様が、ほうっと桜の樹を見上げた。そうだなぁ、と答えた旦那様は「うちの野菜がこんなふうに料理されるって嬉しいよな」とつぶやく。

え?まさかの生産者?

 気になって声をかけようとしたけれど、正直、その2人の空気を壊したくなくて黙りこむ。

 当たり前だけど、この土地の野菜の生産者がいて、漁業に携わる人がいて、それらを料理する人たちがいて、それを売る人がいて。更にその魅力を伝える人がいて。

 みんなで「森町」なんだなぁと。感慨深く思い、「すみません、生ビールって注文できますかね」と尋ねるわたしがいる。すまん。美味い食事と桜には、やはりアルコールが合う。


 てらてらと公園内を歩いていると、橋があったり川があったりと実に表情が変わる場所なんだなぁと気が付く。こんな狭い敷地の中に、桜が咲き乱れ、しかも樹齢100年を超える樹々たちが密集している場所は珍しい。なんと1000本もあると聞いて驚く。

 桜の樹の両手に花が咲くことによって、肩寄せ合う仲間になる。古い仲間たちから生まれた伝統あるおまつりが、今年はまた一段と新たに生まれ変わる。


 さて、そろそろ帰ろうかな。お土産をいっぱい手にして、わたしは帰り道を探す。

 ひらひらと桜舞う、春の森町で。

 また来よう。春に、森で、人に会いに。



☆☆森町の桜まつり2019 ディナー予約はここから可能です☆☆

  見てみるだけはタダだ(笑)

森町桜まつり2019について詳しくはここ


※この旅エッセイは2019年3月に、森町・森観光協会発行した、オリジナルタブロイド誌「foreST.」に掲載されているものを、さらに加筆したものです。


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*写真協力:森観光協会・森町・㈱クールスター

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