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  • 執筆者の写真KANAZAWAyuuki

春に、森で、人に会いに。

更新日:2021年12月3日

北海道にある森町(もりまち)。

道内でも唯一「ちょう」ではなく「まち」と呼ぶ。

なんで「まち」なの?聞きに行ってみた【その1】

 函館空港を出て、レンタカーを運転し始めたころには、それのことはすっかり忘れていた。というか、知ってはいたけどそれほど大きな期待もしていなかった。

 でも。ふと視線を感じてなんとなく右側を見る。

 おお!駒ヶ岳!なんという美しさと圧倒的な存在感。

 運転しながら、ちらちらと見てしまう。駒ヶ岳って、こんなにキレイなのかぁ。途中でWEB検索してみたら「1131mの活火山」と出てくる。あれ?予想よりも大きい。東京タワーが3つ分??そんなでかいものがアレなのか?


 北海道の旅が面白いのは、こういうところ。環境すべての規模が大きいから、本州と比べると、いちいち驚く。こんな離れた場所から、1000m級の全体像が見えるっておかしいだろ!ひとりでつぶやきながら、テンション上がったまま高速を降りる。

 森インターから町の中へ。


 函館空港からおよそ1時間。町なかに入り込むと、駒ヶ岳は見えたり見えなかったり、そのうち後ろ側になってくる。空港からここまで、何も飲まず食わずでやってきた。森町でお寿司屋さんに行くことを楽しみにしていたからだ。

 お店には、行く直前に電話を入れておいた。ちょっとドキドキしながら、用意してもらっていたカウンターに座る。旅先で初めて入るお店は、いつも緊張する。でも先に「1人です」と伝えておいたせいか、ちょっと安心感。


 お店には観光客っぽいご夫婦が、昼間から冷酒と一緒に鮨を食べている。う、羨ましい…!しかしわたしはレンタカーを抱えた身。ここはぐっとこらえる。

待て自分、夜まで待つんだ!

 ご主人がカウンター越しに鮨を握る。「どうぞ」と目の前のお皿にのせてくれた。

 それを大切に、そうっと、口に運ぶ。

 おいすぃっ!!!

 思わず声に出そうになり、慌てて口をすぼめると、むしろ変な言葉になった。ご主人がにっと笑って「どこから来たの?」と気さくに話しかけてくれた。常連さんらしき人と会話しながらも、こちらを気にかけてくれる、うれしい距離を保ちながら、鮨を楽しむ。

 あああ、美味しい。「近くの海で獲れた魚ですか?」と尋ねると「噴火湾からあがるものがほとんど。地のものが一番おいしいから」。


 噴火湾は、天然の遊魚池といわれるほど海の幸に恵まれているという。北海道といえばどこでも海の幸がうまい気がしちゃうけど、実は内陸の地域もたくさんあるもんね。その点、森町は湾を囲む、漁業が盛んな町。その素材の良さを知っているから、できる限りは地元のものを使うという。


「せっかく森町に来たなら、濁川温泉に行ってみるといいよ」と聞く。

 わ。出たそのワード!

 実は森町に訪れる前に、調べていたんだけど、どうもハードルが高すぎて実際に行くかどうか悩んでいた。

 「キレイで新しい方がいいなら違うところを勧めるけど、濁川は古くて他にはない雰囲気がまたいいんだ。」そう聞いてますます行きたくなってきた。気になっていただけに、聞くと本気度が上がる。よし、行こう!


 ご主人にお礼を言い、海沿いへと走る。ちょうど右側に湾を眺めながら、国道を走ると「地熱の里 濁川温泉郷」トマトときゅうりが温泉に浸かっている看板が見えた。野菜を温泉で茹でるの??と楽しい看板を横目に左折。

 濁川はいくつもの泉種が狭い地域に沸く、温泉マニアにはたまらないところ。旅館に向かって走っていると、右側にもくもく煙のようなものが出ていることに気が付いた。なんだろうあれ。工場?

 ビニールハウスがずら―――ッと並ぶ、その向こう側に木が生い茂る、その中に。もくもくもくー――っと上がる白い蒸気。

青空に昇り立つその迫力に、

「なんじゃこら―――」と思わず口に出る。


 気になりつつも日帰りのお湯を求めて、まずは旅館の古いドアを開ける。

 もう、外観からして完全に昭和。いやもっと昔。古い旅館だとは聞いていた、想像通りの本気のレトロ具合。たまんないなぁこういう雰囲気!とわくわくしながらピンポーン♪と鳴らす。


し―――――――――――――――――――――――ん。

 今だかつてこれだけ長い「しーん」を書いたことはない!!あまりにも反応がないので、こんにちはぁ!と奥に声をかけてみる。玄関に身を乗り出して中を覗くと、おじいちゃんの電話をしているらしき声が漏れてきた。少し待ってもう一度声をかけると、やっと出てくる。

 たまらんね…こういう感じ。スタートから半端ない!

 日帰り入浴したいことを伝えると「混浴はこっち、女性用はあっちね」と教えてもらう。 そう、なんとここは混浴がある!古くて有名な湯どころは、まさに混浴の方。今は男性が入っていないことをおじいちゃんに聞いて、これはチャンス!と浴場へ。

 ちょっと待て。この廊下、階段。

 若干斜めなんですけど…!トリックアート写真がリアルに撮れそう!なんか無駄に興奮してきた。


つづきはこちら


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  見てみるだけはタダだ(笑)

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※この旅エッセイは2019年3月に、森町・森観光協会発行した、オリジナルタブロイド誌「foreST.」に掲載されているものを、さらに加筆したものです。


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