top of page
  • 執筆者の写真KANAZAWAyuuki

南富良野の美しさは、いつだって無防備だ④


 さあ、ここからまた1人の旅だ。んもう、自分の好きなところに行っちゃうもんね、とアクセルを踏む。そう、それは昨日対岸から見た工場。クルマを走らせると、工場よりも先に、古い小さな駅が見えてきた。

 昭和レトロ感じる、エメラルドグリーンの屋根。「東鹿越駅」というらしい。調べてみると、台風の影響による代行バスと列車の乗換駅として機能しているようだ。その向こうに愛しの工場が見える。

 運よく、列車も代行バスもいて、小さい駅ながら瞬間の賑わい。カメラを構えて記念写真を撮る人もいれば、きっと地元民なのだろう、バスの窓から冷静にそれを見つめる人もいる。わたしはどちらかというと前者なのか?とはいえ、日に5本のうちの1本の電車に居合わせられたことに感謝。

 幸いして他にクルマがいないので、工場の前でちょっとだけ減速。こちらもさっきの駅と同じようなエメラルドグリーン。もくもくと煙も上がり、トラックの行き来が見えた。あああ、いいなあ工場。好き。


 そのまま、かなやま湖を抜けて国設南ふらのスキー場の前を通ってみる。まだ季節ではないから雪はないが、入口はこぢんまりとした規模なのがわかる。駐車場からゲレンデが近いのがいい。しかもシーズン券が1万円というから、国設ならではの破格に笑ってしまう。安すぎるだろ。

 そのまま街なかに向かうと、右手に赤い鳥居が見えた。気になってそちらへ右折すると「南富良野神社」とある。おお、町名そのままの神社とくれば、参拝は必須だな。とクルマを降りる。

 人のいない神社には、静かな時間が流れていた。天照皇大神を祀っているようだ。大きい社殿ではないが、木に歴史感じて格好良い。南富良野はもともと木材の村として発展してきたようだから、そういうのもあるのかな、と手を合わせる。木漏れ日が美しい。

 気が付いたらお昼を過ぎていたので、再び道の駅に向かった。最後のランチは何にしよう?フードコートをとろとろ歩く。

 昨日のお肉屋さんに「美味しかった!」と感想を伝えに行こうと思っていたら、残念、今日はお休みだった。その手前にあるお店でおにぎり、いや「お結び」が売っていたので、そうだお米食べたいと、迷わず入店。

 北海道のテレビにもよく出演されている、南富良野出身の料理人の店らしい。「故郷店」とあるのがいいね。北海道の郷土料理「いももち」を入れた豚汁と、お結びのセットを選ぶ。小さなカウンターに座って手を合わせた。玄米に近い噛み応えのあるごはんがおいしい。ぱくぱくと完食し、店を出る。


 最後に物産センターに寄り、じゃがいもなんかを買った。家の土産だ。小銭をしまいながら、隣の冷たい飲み物を売っているところをチラ見すると、ビールが目に飛び込んできた。あ!そうだ!もうわたし、飲んでもいいんだ!途端に元気になる。この道の駅を最後に、今回の旅の仲間たちと再度合流し、運転手を交代して帰る予定になっているのだ。

 それを思い出し、嬉々としてさっき素通りしたレストランに突入。そうそう、ここでは「SORACHI1984」が飲める。食券を買おうとすると、ショーケースに目が行った。イマドキ珍しい食品サンプルが並べられている。しかもナポリタン推しなのか、「並盛」「大盛」「特盛」まで並ぶ。ああ、さっきお結びを食べたので今回は無理だけど、次回来たらナポリタン一択だな、とビールのボタンを押す。

 彼らが来るまで、あと1時間近くはある。ゆっくり最後の南富良野を楽しもう、とビアグラス※を傾けた。


※夏は生ビール(ジョッキ)・冬は缶ビール(ビアグラス)で提供しています


                            またね!南富良野。おしまい


南富良野町についてはこちらから!(^▽^)

bottom of page