KANAZAWAyuuki
南富良野の美しさは、いつだって無防備だ②
更新日:4月25日

心地良い疲労感のまま、3人で道の駅に向かった。今夜の夕飯の買い出しだ。何をテイクアウトしようか?などと飲食店を見ていたら、なんと肉そのものが売っているではないか!泊まるコテージにはキッチンもあるし、これを買えばいいじゃん、と3人で意見が揃う。
ジンギスカン、鶏肉、豚肉、と楽しく購入。わくわく。合わせて「肉に合う南富良野ビール」も手にする。ああ、完璧すぎる。お土産屋さんにも立ち寄り、南ふらのもち米バスタとパスタソースも購入した。
そこで気が付く。野菜がない。肉だけ焼くのもどうかと思い、結局スーパーにも行くことに。タマネギ、もやし、ニンジン、トマトにチーズ。あ、忘れてはいけないビールも購入。よしよし。これで準備はOK。
南富良野の美味しいものをクルマに詰めて、かなやま湖へと走らせた。あ、湖が見えるなぁと思っていたら、途中で駐車場があったので立ち寄ってみることに。仲間の2人は別のクルマで移動しているので、わたし1人。
クルマを降りててくてく歩くと、静かな湖と緑が迎えてくれた。なんて気持ちがいいんだろう。あまりにも静かで怖いほどだが、水の音がする方へそっと向かってみる。
小川だ。水音と、笹の葉がさらさらと風に揺れる音だけが世界を占めている。ぼうっとその音を聞いていたら、何だか「行けっちゃガサガサ」のように聞こえた気がした。日本昔話の「山ナシとり」だ。※知らん人ゴメン
笹が「行くなっちゃガサガサ」と道を教えてくれているのに、行ってしまった兄さんは妖怪に食べられ、末っ子は素直に「行け」と言われた方の道を進み、無事にナシをとって妖怪退治し、兄さんたちも助けたとかそんな感じ。
わたしは正直者だから妖怪のいる沼に到着できるとは思うが、妖怪には会いたくもない上、この先に進むと帰りが遅くなりそうだ。仲間たちに「あいつ帰ってこない」と言われるだろうし、別にナシもいらないし、寧ろクルマに戻った方が肉がある。
昔話から今に戻り、クルマを走らせると、今度は湖の反対側に工場らしいものが見えた。ちらりちらりと見えるそれに、興奮する。自分には「萌え」しかない。気になるが、さすがに今は我慢する。探索は明日にしよう。
チェックインをして荷物を広げ、仲間たちと再び合流。「いいね、広いね!」とリビングや寝室を探検しているうちに、さっさと買ってきたビールを開けた。「何よりも、これが先」と、2人の分もグラスに入れる。自分だけ勝手に飲むことはしなかったあたり、結構優しい方だ。
さあ、宴を始めようではないか!と買ってきた南富良野の恵みたちを、どさーっとキッチンに並べる。
自らキッチン担当してくれた1名が、わっしゃわっしゃと野菜を切り、ホットプレートを準備。わたしはそれに甘え、やったぁ!とビールを開栓し「乾杯!」スタート。買ってきた肉は柔らかくて、野菜とも合ってすごく美味しい。味がついているから、コテージでの料理に最適だったなぁと自らの選択に満足する。
ガツガツと食べながら、ぐびぐび飲む。気心知れた仲間たちとこうして一緒にご飯を作りながら食べ、飲んで泊まるのは最高だ。
それぞれ自分のタイミングで風呂に入り、ビールを飲み、だらだらとリビングで過ごした。まるで自分の家か?友人の家なのか?というくらい思い切り寛げる空気感。そのうち1人は「もう駄目。眠い」と先に寝室に行き、もう1人は「ここで寝そう…」とソファに横になりだした。おいおい、ホントに好き勝手だな。そろそろ自分も寝ることにする。
………
朝が近づくと同時に、カラダが痛いような気がしてきた。あれ?変な寝方したかな?とベッドを降りて気が付く。
筋肉痛だ。あ!カーリングだ!
2人に「筋肉痛なんだけど!」と階段を上りながら報告すると、「へえ?何で?」と言っている。なんてことだ。普段からろくに運動をしないこのわたしだけが筋肉痛なのか。ああ、なるほど。そういうことね。最初に寝ていた1名は、朝シャワーまでして非常に爽やかだ。なんだこの差は。
次回につづく