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  • 執筆者の写真KANAZAWAyuuki

北見から巡るうまいもの旅5

更新日:2022年12月25日

ついに北見出発のバスは

最終目的地である「釧路」へ。

この旅も、終盤…その5

 阿寒湖を巡る遊覧船!その4の続き

 

 船に揺られながら、スマホのマップで、自分が阿寒湖のどこにいるか検索してみた。何だか端の方のとんでもない場所にいることが判明。阿寒湖って広いなぁ(地図の右下の矢印です。上の赤いのが「マリモ展示観察センター」、左下の赤が乗船場)。


 調べると、日本で24番目に広い湖だそうだ。この規模で24位か…敵?はまだまだデカい。

 それにしても、北海道の旅というのは、マップと照らし合わせながらが、とりわけ楽しい。自分がどの位置で、何を目の前にしているかを確認すると、感激度が増す(自社比)。


 さて、途中の「マリモ展示観察センター」で一時下車。およそ15分の観察時間だ。

「マリモ」は決して「まりもっこり」(イラスト参照。こういう感じの人)のように人ではなく「植物」。阿寒湖には6億個ほど生息していて、30㎝大のものがいるのは世界でも阿寒湖だけだそう。そりゃあ特別天然記念物にもなるよね。

 皆で船を降りて、森の中を通ってセンター内へ。

 建物内はWi-Fiも使えて快適。水槽の中には、様々な大きさのマリモたちがふにゃらふにゃらと泳いでいた。遠浅のところで波の動きによってコロコロ転がり、大きく丸いマリモに育っていくらしい。まるで雪だるまではないか!かわいすぎる!

 見ているだけで、緑のそのころころとした個体には、癒される。

なんでこんなにかわいいマリモから、あの「まりもっこり」に派生したのか教えて欲しい。

 建物を出ると「マリモの阿寒湖」と看板がある湖畔に出た。「ここにさっきのマリモがたくさんいるんだって」と小さな子どもに説明するお父さんの声。実物を見たから、子どもも想像しやすいだろうと思っていたら。

 「へえ!オイモ!オイモがたくさんいるのかぁ」とキラキラしている。おおお、予想外だ。マリモとオイモ。「モ」しか合ってはいない。慌ててお母さんらしき女性が「違うよ、マリモだよ」と訂正していたが、お父さんの方が無言になっていた。わかるでぇ、その気持ち。

 チケットの裏には「マリモの唄」が記載されていた。歌詞を読んで気になっていたら、なんと戻りの船の中でBGMとして流れ出したではないか!いいねぇご当地の唄。

 しかし黙って聞いていると、やたらスロウでせつないメロディー…。マリモの水の中でのふわふわ感を想うと、確かにスロウでもよいが、もうちょっと明るい歌でもよかったのでは。とはいえこの昭和感がなかなかよい。この曲を覚えて、今度、北海道民の前で「ちみたちは知っているかね?」とカラオケで歌ってやろう、と心に誓った。

 

 14時45分に再度バスへ集合し、釧路市内へ向かう。

 途中で「滝口」という場所を通る。どうやら船で行った、狭くなっている場所とつながっているらしい。「ちょうどここの水流が阿寒川となって太平洋まで続きます」。ほええ。海までは、およそ60キロメートルの距離。その間をバスは移動。なんかちょっとウトウトしたが、15時15分には道の駅「阿寒丹頂の里」に到着。

 その道の駅に隣接する「阿寒国際ツルセンター」へ立ち寄る。このエリアのもうひとつの特別天然記念物である「タンチョウ」を保護している施設。この地域には当然野生のタンチョウがいるけど、偶然出会えることはまれ。せっかくこの地に来たのなら、この際、保護されているタンチョウでも見たい。それがオトメゴコロ。

 帰ったら自慢気に「タンチョウ、見たよ!」と報告するんだろうな。それは別にもう、野生でも保護でも関係ないのだ。

 施設に入ると、保護して育てられている子どものタンチョウが迎えてくれた。思っていた以上に近くで見られて感激。ここで生まれ育っているという「ムック」がかわいい

 なんといってもタンチョウの羽の美しさは、一見の価値がある。白い輝きを放つそれは、そりゃあもう美しい反物になって、爺さんは高く売れたんだろうと想像する(つるの恩返し)。

 話がそれたが、このムックは自分のことを人間だと思っているらしい。恋する相手も「飼育員さん」というから、

あまり選べない環境なのが不憫だ。

 野生のタンチョウが自分に近づいてきても、追い払ってしまうらしい。いつか自然の場所に還して幸せになって欲しい、と願うセンターの皆さんであった(詳しくは説明の看板を読んでね)。

 そろそろ出ようとしていたら「あ!野生のタンチョウがいるよ!」の声に、再び振り返る。大きなガラス張りの窓の向こうに、なんと3羽のタンチョウがいるのが見えた。慌ててカメラのシャッターを切る。

 「今の時期に野生が来るのは珍しいのよ」とセンターの方がいうので「やはり日頃の行いだな」と自信を確信に変え、その近くにいた知らない人にまで「野生のタンチョウいますよ!」とまくしたてた。

 酒飲むタンチョウ大使とはわたしのことだ。

 道の駅に戻り、温かいカフェラテを買った(ビールは売ってなかった)。しゃーないのでそれを両手に抱えてバスに乗り込む。ここからはもう、市街地も近い。

 釧路市は「石炭」「漁業」「製紙」3つの産業の街だそう。しかしながら、時代の需要とともに今は衰退気味とのこと。いつの時代も、それに合わせて売るモノも変えていかなくてはならない。20代は若さで売っていたわたしも、今はもう、それは売り物にならない…

 釧路市内には、夕暮れが近づいていた。17時に駅に到着。めちゃくちゃ楽しいバスだった。さっきまでバスの空間を共にしていた人々が、一斉に思い思いの目的地に放たれていく。


 わたしは先ほど「この駅に石川啄木の碑があるらしい」という情報を得たので、探すために構内に向かった。そういうものがあるなら、駅前などにすぐあるはずなのに見つからない。3輪のモニュメントにも「SEE YOU AGAIN また逢いましょう」と書いてあるだけ。駅の人に尋ねると「あるけど、一番近くでも徒歩8分はかかるかな」と返事。どうやら石川啄木の歌碑は、市内あちこちにあるそうだ。

 微妙に正確さを欠いた情報に踊らされた私は、この10分後に札幌行きのバスを予定していたので、もう歌碑は諦めることにした。売店で、美味しいビールを購入し、バスが来るまでベンチでプシュッといった。斜め後ろにある交番の人から怪しいと思われないよう、背を向けて飲んだ。あ、向こうからバスがやってくる。

 SEE YOU AGAIN、ひがし北海道よ、また逢いましょう。



                                 (たぶん終わり)

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