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北見から巡るうまいもの旅3

更新日:6月10日

網走で贅沢ランチ!

そして温泉からの素敵カフェ…その3


 その2からの続き…


 さて。お昼である。

 網走湖へ向かってクルマを走らせる。雨の網走もなかなかだ。ゆるい丘陵に揺れる男爵イモの葉や、樹々の葉。下がり始めた気温に、ゆっくりと反応して色づき始めようとする街路樹。白く輝く空から降る雨が、そうっとオホーツク海や網走湖に還ってゆく様。


 大地と大海が、この街にはある。ああ。

腹が減った。

 

 網走湖畔にある「Connectrip(コネクトリップ)」に着くと、待ち合わせをしていた網走に住む知人がすでに到着していた。ランチを予約しておいてくれたと思ったら、なんと「ピザ作り体験」という。うはー。まじか。楽しそう!

 そんなこととは思っていなかったので、早速エプロンを貸してもらうということで人に迷惑をおかけし、楽しいクッキングスタート。


       ピザ作りの仲間たち→


 すでに発酵済みのピザ生地を、教えてもらいながら綿棒で伸ばしていく。北海道産の小麦「はるよこい」を使用しているらしく、ふにゃふにゃしていて気持ちいい。ほどよく丸くしたところに、野菜をのせていく。

 「今日は斜里と北見などの野菜と、鮭とかホタテとか地物がいろいろです」とテーブルに並べられている。うわあ!とそれだけで感動。自分の生地の上に、あれもこれもと盛り上げていく。ああ、ピーマンも欲しいしトマトも、ブロッコリーも、そんでもちろん、エビも鮭も、ホタテものせたい!


もう、人種のるつぼ的ピザ……。

 マルゲリータとかシンプル追求したピザを考案した人って、きっと家の中もきれいなんだろうなと妄想する。自分の場合はそうもいかない。つい欲しいがままに選び、買って肥えていく仕組みになってしまった。つまりは部屋が汚い。

 それでも美しい北海道の大地のようなピザ生地に、またその恵みの具材たちをのせていく行程は、まるで土に還していくようで、何だか意味深い。とかちマッシュをのせたら、再び生えているようでなかなか斬新だ。

 これを本当なら外の釜で焼くらしいんだけど、今日は雨なので室内のオーブンにて焼く。ううう、ここでの雨は嫌な奴だが、それは仕方ない。大人なので享受しよう。ピザが焼けるのを待っている間に「どうぞ~」といい匂いの皿がテーブルに届く。きたあかりのポテトフライ!ふわぁ~おいしそう!と叫ぶと同時に口にパクリ!おいしい!何もつけなくても十分おいしい。

北海道のじゃがいもパワーは半端ない。


 これだけでサッポロクラシック3杯はいける自信がある。が、今回は運転。ノンアルコールで我慢。前菜ポテト?を食べすぎているうちに、ピザが焼きあがった。

 大地の恵みを、はふはふと頂く。自分で作った!と言ってもほぼ具をのせただけのようなものだけど、こんなに楽しくて嬉しい。10倍はおいしく感じるから、単純なもんだ。

 ああ、ノンアルコールがお供だけど、それでも最高のランチタイム。


 網走の愛すべき知人たちに手を振り、再び雨の中、北見市に向かって戻ることにした。大空町から北見に向かって走らせていると橋に行き当たった。右も左も、山。緑。ザ・山。その山々の構造が何層にもなっていて、何ともいえない景色。雨が静かにその緑に降り注ぎ、そうっと霧がかかっている。ああ、心が洗われるなぁ。汚れてたもんなぁ。よそ見をしないよう注意しながら、またクルマを走らせる。


 今日は宿に戻る前に、温泉に入ろうと思っている。北見市街地に入る前に、見つけたホテルへ。どうやらゴルフ場や冬にはスキー場になる大きな施設のようだ。15時到着。クルマを停めたものの「入っていいのかな…」とやや不安になる。しかしロビーに踏み込んだ途端「お泊りですか?日帰りですか?」とスタッフの方。早い…。どこから見られていた?怪しかった?わたし?などと疑心暗鬼になりながらも、素晴らしい対応にホッとして日帰り温泉の施設の方へ。

 お風呂の方に行くと、家族連れや地元の人らしき方々もいて、賑わっていた。 

 ゆっくりとお湯に浸かると、ほわぁっと疲れや緊張がほどけてゆく。露天風呂のお湯の色と、外の樹々の葉の色が美しい。ちょっぴり茶色のような湯と、ほんのりと紅葉している葉が重なる。

 ボケ―――ッとしていると、自分の頬まで色が変わってきたので、無理しない程度で湯から出た。これ以上浸かっていると、化けの皮が剥がれる(意訳:お化粧が落ちちゃうわ)。日帰り温泉では、髪も顔も洗わない主義なものでね。面倒だからね。

 そういえば、ここの名前は「金の湯」という。はっきり言って、名前で決めた。縁起良さそうだし。金大好き。金大好き。読み方は色々。

 

 ほっこり温まったカラダを持て余すように?再びアクセルを踏む。ちょっぴり田舎道を走っていると、急に行き先が緩やかな丘の路になって、思わずクルマを停めた。北見ってそれなりに町だけど、ほんの少し郊外に行っただけで、息をのむような景色に遭遇できる。

 あの道の先に行ってみたい!と思わせる。何というか、子ども心を思い起こさせるのだ。わくわく。

 その先に行く手前に、もうひとつの目的地があったので、まずは右折。わあい。ここに来てみたかったんだよね、と辿り着いたのは「グリーンズ北見」。航空会社エアドゥの機内食でも有名な「オニオンスープ」を作っているところだよ、と説明すればわかる人にはわかる。北海道民には特に有名なスープだ。

 クルマで入ろうとしたら「関係者以外進入禁止」の看板。あれ?やばい。ここで買えると聞いたんだけどなぁ…。不安になって、目の前にクルマを停めたまま電話。「あ、購入できますよ♪事務所の方までどうぞ」と電話口で言われ、ひゃっほう♪とクルマ進入。

 看板を左手に入っていくと、三角屋根のグリーンの建物。クルマのドアを開けて外に出ると、ふわぁっとタマネギそのものに包まれたような香り。いや、ここの空気全体がタマネギ化しているのかも。何とも初めてのその感覚に、自分がスープの具になったような気分になる。実にうまそうだ。

 スリッパを履いて2階の事務所に行くと、なかなか小売りされていないお徳用パックなども売っていた。喜んで自宅用にと購入。

 空港などでは売っていない、このレア感がいい。何かツウになった気分。少し待って、商品を受け取り外に出た。雨の匂いとタマネギの匂い。うむ、なかなか良い。さっき気になった丘の上に向かってクルマを発進させる。


 目の前に広がる、急な坂と急な丘。これは何かの畑なんだろうな。やっぱりタマネギかな。土を掘り起こした濃茶色と、雨を含んだしっとり感ある黒茶色、濡れた葉のつやある緑色。その間をカッターでしゃき―――ん!と切り裂いたようなクルマの道。そこを駆けのぼる。たった50メートルほどの距離なのに、のぼり切った途端、また景色が変わる。右からは赤いトラックがやってきた。


 夕方5時。のどが渇いた。早く酒が飲みたいが、普通に茶を飲みたい。コンビニでお茶を買えばいいんだけど、旅先ではできれば可愛い茶を飲みたい。可愛いふりもしたい。何かそういうことも、してみたい。

 ということで(前置き長い)雑貨屋さんもある小さなカフェにやってきた。建物の外観からイメージしたよりも、中はずっとおしゃれ(失礼)。

いや、外観よりも可愛すぎてビビる。

 なんでこんな空間が広がった?まるで『地下室からのふしぎな旅』みたい(知っている人だけ、どうぞ!この年齢がばれるネタ!)。

 子どもの頃に、お母さんからちょっとカワイイ空き箱をもらって、その中にお気に入りの宝物なんかを詰め込んでいたことを思い出す。ここは、そんなお店。30歳は軽く若返る(個人差あり。あくまで妄想)。

 中国茶を注文した。タイミングよく、他のお客様もいない。チラチラと揺れる灯りと、香るバラにもう、悪いがノックダウン。

 どわぁ…んもう、

ビール以外でこんなに幸せを感じたのは久しぶりかも。

なんとかソフトドリンクで命をつないでいる自分。

 外の雨の音と、揺れるローソクの灯が静かな店内。

 酒を飲まなくても、こういう楽しみ方もあるんだなぁ(まだ言ってる)。

 そんなわたしの無駄な若返りの空気を、気持ちよく「からんからん」とドアの音がかき消してゆく。3歳くらいの女の子を連れた家族だ。


 お天気が悪かったはずなのに、急にお日様が入ってきたように、店内がパアっと明るくなる。宝箱の中に、ころん、と飴玉が転がり込んできたみたいだ。 

 常連らしき親子。「うるさくてごめんなさい」とお母さんがわたしに挨拶する。いえいえ、とんでもない!こんな偽物の子どもではなく、彼女はホンモノですから。わけのわからん返答を(脳内で)したころ、「ねえ!虹だ!」とみんなが騒ぎ出す。さっきまで降っていたのに、急に晴れたらしい。やっぱりこのお店は、どこかファンタスティック。

 あ!今、気が付いた!このお店の名前「SOL」って「太陽」って意味じゃん!そうだ、そうだよ!すごいなオイ!と、店を出てから一人興奮する。美しい北見の夕景は、そんな阿呆な大人をも、そうっと包んでくれる。


 そろそろレンタカー返却時間だ。やや焦りつつ、ガソリンを満タンにしにスタンドへ向かう。レンタカーって、どこにボタンがあるのかさっぱりわからない。

アタフタしながら、コントのように

「ボムッ」とボンネットが上がった。


 スタンドのおじさん2人が駆け寄ってくる。恥ずかしい。大人なのに…。しかもここってセルフのスタンドなのに…。

 結局給油口も開けてもらい、自分で給油する。

 それ自体は問題ない。よしよし。

 わたしだってそのくらいはできるさ。

 満タンにして、おじさん2人にお礼を行って発進する。

 よし、レンタカー屋さんに向かおう。て、あれ?クルマの表示が「満タン」になっていない。なんで?さっき自動で止まるまで入れたはず。不安になって、もう一度別のガソリンスタンドに寄った。

 そこはセルフではなかったので、お兄さんが入れてくれた。「少しだと思うんですけど、満タンにしてください」と、クレジットカードを渡す。「わかりましたぁ!」と元気な声が響き

 「はい!満タン!143円です!」

 恥ずかしい。抜群に恥ずかしい。

 やっぱりもうほとんど満タンじゃん!というか、そんな大声で言ってくれるな、お兄さん。

 早々に出発し、レンタカー屋さんに向かう。返却時間ぎりの3分前。スタッフのお姉さんに、満タン表示にならないことを伝えると「あれ?デジタル表示だから反応が遅いのかもしれませんね」などと言って、そのまま終わってしまった。いいのか?本当か?デジタルだからすぐ反応するんじゃないのか?


 ああ、腹が減った。もうガソリンのことは忘れよう。北見駅まで送ってもらい、ホテルに向かう。夜ご飯はどこに行こうかな。今日出会った人にあれこれ聞いてみたけど、まだどこにするか絞り切れていない。うーん、ここは一度ホテルに戻って荷物を置いてくるかなぁ。

 と、商店街を歩いていたその時!出会ってしまったぁ!!


その4に続く