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  • 執筆者の写真KANAZAWAyuuki

富良野・美瑛を巡る冬の贅沢バス 【最終回】

更新日:2020年3月4日

ふらのバスが2019年の冬に初めて走らせた ツアーバス。

美瑛神社からの不思議体験。

その3です。


 美瑛神社で、何となくさっきのの写真を確認しようと、再生ボタンを押した。

(この前の話を読んでいない方は、ここから戻って読むべし)



 カメラのボタンを押し、さっき撮ったはずのものを順に確認する。

 隠れハート、ちゃんと撮れたかな?あれ?


 再生されるのは、なぜか何年か前に撮った写真ばかり…。

 さっぽろオータムフェストのお料理、小さな子ども、記憶にないソファーのある部屋…。数年前のものだとわかるものもあれば、こんなの撮ったっけ?という不思議な写真しか出てこない。美瑛神社の写真でもないし、その前に訪れた今回の美瑛の写真でもない。


 なんでなんで??と焦るうちに、バスに乗り込む時間になったので、神社を後に。


「昔の写真データが、SDカードに残っていただけでしょ?」

シラ―――ッと読んでいた、そこのあなた!!


 今回の撮影のために、わたしはメモリをすべて削除してきたのさ。それなのに数年前の写真が出てくるってどういうこと?誰か教えて!

 しかも、バスに乗り込んで落ち着いてもう一度確認しよう、と思ったのに。

 聞いてくれよう!今度はちゃんと美瑛神社の写真が出て来たんだよう!何だったんだよう!さっきのはよう!怖いよう!さすがパワースポットだよう!カメラなんか触ってないで、神社ををこの目でしかと見ろってことだったんかよう!


 不思議感覚のまま、先ほどのおみくじを開けてみた。

「吉 良い事と悪い事が一緒に起こるかも。

 気持ちの整理がつかず、あづましくないべさ」

※北海道弁で「あづましくない」は「落ち着かない」の意味。



 その通りだよ!さっきの写真事件で、気持ちの整理がつかず、あづましくないべさ!!


 おみくじってすごいな…。


 気持ちの整理がつかないまま、バスは次の目的地「深山峠アートパーク」へ。う…もうさっきのことは忘れよう。

 ここは「トリックアート美術館」。だまし絵とかではなく、絵の前に立って写真を撮ると、まるで絵に入り込んだような面白い写真が撮れるところ。

 日本全国にトリックアート美術館はあるけど、ここもやっぱり楽しい。他で見たことなかったのは、入り口近くにあったデジタルのもの。絵の前に立って、お花をもってると、なんとチョウチョウが近づいてくる!不思議―。

 最初は「こっちよ♡」と乙女らしい気分だったのに、そのうち「はい、こっち。次こっち」と意地悪くお花の位置を移動。へっへっへ。


 あちこちにある絵を見て、写真を撮っていると、館内のスタッフらしい女性が近づいてきて「◇★※▽◇□※〇〇★??」と話しかけてきた。

…ハングルグルグル?

 「あ、日本人です」と答えると、

 「キャ―――ごめんなさい。今日のお客様、全員外国の方だったのでてっきり…」と。


 それは間違えるよな…。アジア人、一見判断は難しいもん。

 わたしの判断基準は、顔よりも「着ているものの派手さ」。冬の時期に真っ白なダウンををお揃いで着てるカップルは、ほぼ100%日本人ではない。蛍光ピンクのブーツもまた然り。

 あれ?わたしめちゃ青いダウンのロングコート着てたんだけど…

まさか派手なのか?


 あとから悶々としつつ、美術館を出て深山峠の景勝スポットに行く(美術館の横手)。 前に来たときは、一面緑色できれいだったんだけど、冬は初めて。

 見渡す限りの丘が真っ白だ。樹々はあれども、それ以外は真っ白。向こうの方まで丘が続いていて山が見える。あれ?どこまで丘なんだ?と思うくらいの規模感。写真はおろか、、わたしの稚拙な文章では伝えきれないので、ぜひ行ってみよう。



 どうでもよいが、「深山峠」と書かれた木が、白い雪をかぶってまるでベレー帽みたい。

 だんだん後ろ手を組んでいる人間に見えてきたので、

怖くなってバスへ戻る。


 さて、さすがに腹減ってきた。

 バスは次の場所「後藤純男美術館」へ。

 館内を見る前に、ランチタイム。フラヌイ雪物語コース限定のランチ。「かみふらのポークのミュゼふらの」です、とのことだが…豪華すぎる!!


 かぼちゃのスープも、もったりしていて美味しい。サラダを食べて「ぐっ」とキタ。あれ?なんだこのドレッシングの味。知ってる味なんだけど、何だっけ??

 ふがふがしながらも食べ進める。めちゃ美味しい。メインの「かみふらのポーク」のソテーは脂身まで甘いし、添えられた野菜もそれぞれ味付けが違う。

ナニコレ。

このランチ、明日も食べたい!!


 食後のお皿を下げに来てくれたお姉さんに、わたしは聞いた。「サラダのドレッシングって、あれ何ですか?」ふふふ、と笑って答えがくる。

「メロンです」

 何―――――?!!そうだ!メロンの味だ!


 でも、まさかそれを使ってくるとは思わなかったので、全然わからなかった。

 もう1回、メロンだと認識の上で食べたい!


 メロンのドレッシング。出会えたらぜひ味わってほしい。メロンだからな、メロン。

お前忘れんなよ。


 お腹が満足したら、館内へ。


 日本画家「後藤純男」さん。


 ご存じ?

 正直に言うけど、わたしは知らなかったよ!!(堂々と言いすぎ)。わかりやすくビビることで説明すれば、まぁすごいところにこの絵が貸し出されていたこと。館内ではその説明もあるけど、わたしが語ることではないのでやめておく。が、ビビった(笑)


 そんな前知識もないまま入った美術館。

 これがもう、とんでもなく良かった。思ってたよりすごーく良かった。これが帰りのバスの中での本心。

 展示室はいくつにも分かれているけど、広すぎずとっても見やすいし、お部屋ごとにテーマが違うのでわかりやすい。後藤先生は北海道の厳しい自然に惹かれて、この上富良野にアトリエを建てたらしいから、北海道の絵が見たいなとは思っていた。でもそれ以外にも当然たくさん絵はあって。


 んもうその手、光ってる?と思うほどの精巧な観音像、こまやかでありながらも力強い桜の樹々、壮大なスケールの中国の風景…やばい、どれも好きかもしれん、と思っていたその時、


 悪いけど、今日現在も冬だし、さっきまで外にもいたし、今日行ってきた青い池も、しらひげの滝も、めちゃ寒かった。


 でも、この絵の前でわたし、一番寒く感じた。

 「山麓の新雪」


 展示室4へ行く通路の途中にあるんだけど、足が止まった。

 本当に冬の寒さを感じて。



 マジサムイ…。(実物を見るべし)

 

 そのくらいの迫力。後藤さん、後藤さんの絵ってすごいね。感動したよわたし。無知ですみませんでした。


 でもさぁ、バスツアーだからこそ、こういう「出会い」があるよね。絵に興味がなくても、レストランに行くだけでもいい。この美術館すごくいい。


 最後のショップで、卓上カレンダーを見つけた。帰ってきてからはデスクの上に置いているんだけど、これがまたいい感じ。美術館の中で見ていた感覚がよみがえってくる。ただ、2月の絵は雪山なので、本気で見ていると部屋の中なのにまた寒くなる。

 でもほっとする、後藤先生の絵。大きいのが欲しいな…一生働いても買えないかしら…。


それより、わたしの部屋に後藤先生の絵があっても、まずそれに匹敵しないレベルの部屋だからな。絵を飾る前に、飾れるような部屋にしないといかんな。


 バスは最後の場所へ。

 時間は15時半、フラノマルシェに到着。最後にお土産を買うのに最適。何度か来たことはあるけど、いつも何を買うか迷う。あ、ラベンダーグッズやっぱりかわいいよなぁ、と真冬でもつい手に取ってしまう。



 今回のセレクトは、上富良野産小麦の「富良野ホットケーキミックス」。これが米粉入りだから、作ってみたらもちもちしていて、めちゃ好みの味だった。ちなみにいつも牛乳ではなく豆乳で作るので、甘さも控えめ。それでもバターもジャムも何もつけずにそのままで、十分美味しかった!

 自分の買い物はさておき、ようやくここで出会えたのが…ノースアイランドビール!フラノマルシェにあるハンバーガー屋さんで扱っていて、本当に申し訳ないけど、ビールだけ購入。このノースアイランドビールのIPAが、ものすごく好き!!わたしのクラフトビール界の中でナンバーワン。


ようやく本日のビールにありついたぜ…。

  あぶなかった…そろそろ死ぬところだった。

 ランチの時には、うっかり食事に夢中でアルコールのことを忘れていたし(バスツアー参加の皆さんとの流れでなんとなく、というのもあった。でも別注文はできるらしい。ちぇ。飲めばよかった)


 IPAを持って、バスへ。ドリンクホルダーに瓶を入れて、帰りの道を楽しむ。

ああああ美味しい…。バスの窓から雪景色を眺めながら、IPAを飲む時間。丸一日バスに乗って美瑛・富良野のいいとこ取りをして楽しんできた。

 最後はやっぱり、ビールよね。うんうん。


 ほっと一息ついたところで、バスはホテルに到着。あー、楽しかった。自分で運転するドライブ旅も好きなんだけど、冬の雪道はこうやってバスに乗って、ビール飲みながら旅するのがちょうどいい。


 冬の美瑛・富良野は、真っ白な美しい世界でした。バスも白いのがまたよかった(笑)

 また雪が解けたら来ようかな。



※このエッセイは、フラヌイ雪物語コースのパンフレットに掲載されている

 旅エッセイの完全版です。

※どんなバスコースなのか?はこちらから詳細が見られます。


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