• KANAZAWAyuuki

し「歯科」

更新日:6月10日


 隠したいことでもあるが、堂々と言おうと思う。わたしは、虫歯っ子だ。

 「子」とか言ってる場合ではないが、齢3歳にして健診で「虫歯9本」だったというから、これもう本格的に虫歯っ子である。やばいレベルを超えてむしろ「虫歯王」と呼んでいただきたい。

 もちろん、乳幼児期の虫歯というのは、ほぼ親の責任。大人になってからそれに気が付き「ママってわたしの歯磨きしてた?」とストレートに聞いたら

「うーん。お父さんがしてたんじゃないかなっ♪」

と、既に死んだ父のことを登場させてきた。

 もう迷宮入りさせる気だ。

 今の時代なら、まじで虐待を疑われるところだ(「育児放棄」として児童虐待を発見するひとつの兆候が「虫歯」です)。


 ということで、そりゃあもう歯科に行かされた。小学生の頃から、学校帰りなどに1人で通ったのを記憶している。

 自宅から一番近い歯科に通っていたが、とにかくもう麻酔の注射そのものが痛かった。痛みを感じさせないためのものが、痛いって本末転倒。麻酔やだ!といっても、その後の痛みの方が強いことを、子どもなりにわかっているから我慢した。でも痛い!

 だったら虫歯にならなきゃいいのだが、そこはやはり小さいころから虫歯菌が住みついているせいか、一生懸命歯磨きをしても虫歯になりやすかった(歯磨きが下手とも言える)。

 しかしある日、違う歯科に通うことになった。確か、学校帰りに祖母の家に寄るので、祖母の家の近くの歯科にしたような気がする。その先生も「じゃあ麻酔するねー」と言うので(毎回、麻酔が必要なレベルの虫歯‥‥)こちらもぐぐうと構える。ところが、それがぜーんぜん痛くなかった!もう衝撃である。

 注射なども、ベテラン看護師だと痛くない…とか、人の技量によって痛みが多少は左右されるもの。それを知ったのが、歯科の麻酔。なーんだ、と恐怖が和らぐ。最初に行っていたところの先生はなんだったんだ?あそこの患者は、全員あの麻酔で満足しているのか?母に訴えると「あー、あそこは評判良くないもんね」と。

 は?だったら通わせるなよ!!小学生の娘を!!


 それにしても、大人になっても歯科というのは嫌なもの。行かなくて済むなら行かないのに、本気で痛み出したら「我先に」と受診を優先してもらうというワガママっぷり。

 札幌に引っ越してきてから、何事もなく元気に過ごしていたが、ある日とんでもなく固いご飯(五穀米とかそういうのを炊飯時に失敗したもの)を食べたのをきっかけに、過去に治療済の歯が急に痛み出した。なんか、根元にぐらっときたような衝撃。ううう、つらいよう。虫歯はやだよう、歯科に行きたくないよう…と数日気にして過ごしたら、おにぎりを食べて何に衝撃を受けたのかは知らんが、ぽろりと歯が取れてしまった。

 ひえええええええ!歯科に行かなくては!!いやだいやだぁ!と正直思ったが、そこはさすがに大人になったので、いい子で近くの歯科の予約を入れる。


 くすんくすん。もうすぐ時間が近づいてくる…と身構えていたら、「さ」のエッセイでも書いた、わたしがオープンしたカフェに知人が遊びに来てくれ、なんと閉店時間を過ぎてもしゃべり続けた。しかもわたしの知人の中で、トップオブおしゃべり女性と、トップオブおしゃべり男性がバッティングしてしまった(お互いには初対面)。

 これはトップオブトップの戦いなのか?

 なんだ?初対面なのに、どうしてこんなにエンドレス?

 ということで、あっさりとわたしの予約時刻は過ぎてゆき、歯科には断りの連絡を入れた。それから一度も札幌の歯科には行っていない。さてどうするか。