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ち「地下鉄」

更新日:4月25日


 生まれて初めて地下鉄に乗ったのいくつの時だろう。やばい。思い返してみると、多分23歳とか結構な大人になってからだと思う。子ども時代に大阪で、とかそういう経験はあるがあまり記憶には残っていない。

 そもそも、私が生まれ育った金沢は、地下鉄のない街だ。加えて鉄道そのものも、市内を走るものではなく市と市外をつなぐものであって、私にとっては日常ではなかった。買い物に行くにも、学校に行くにも、バスの世界。むしろ「電車で高校に通ってる」という子は、金沢市外から通っている子であって、えー田舎者やん!みたいな感じもあった(ごめんなさい。当時のわたしのリアルです)。


 子どもの頃に時々両親と電車に乗った時は、新鮮で楽しかった。親戚の家に行くため、普段ならクルマで行くのを父のわがままで

「たまにはゆっくり酒が飲みたい」

 とわざわざ電車で行くとか。そういう、ちょっとだけ特別な時間。

 そんなふうに育ったので、18歳で金沢を離れた時に初めて1人で電車に乗った。新潟大学に通ってからだ。平常心のふりで、ドキドキして乗ったのを覚えている。「新潟駅」から「新潟大学前駅」まで。越後線。でも新潟は何だかんだ言ってクルマ社会なので、免許を取ったらあまり乗らなくなった。

 そうして大学を卒業し、仕事に就いて東京に行くようになってからは、「新幹線」「電車」「地下鉄」にはほぼ1人で乗るのが当たり前になった(遅いデビュー…)。



 それにしても、都内の地下鉄は複雑だ。大人になってから週一で栃木から東京に通った日々もあったから、それなりに慣れているつもりだが、それもスマホで検索しているからこそ。検索がなかったら、どうやって乗り換えしていいのかさっぱりわからない。行ったことない場所ならなおのこと。初めて大江戸線に乗った時は、その地下の深さに驚いた(日本で一番深い六本木駅が地下42メートル)。

どんだけエスカレーターで降りるんだよ!!と。

 そんな深いところに自分がいると、想像したら怖くなるので、あまり考えないようにしている。とはいえ、地下鉄はやはり便利。それを実感するようになったのは、さらに札幌に引っ越してからだ。


 札幌で地下鉄が出来たのは、1971年。札幌で冬季オリンピックが開催されるのをきっかけに開通したらしいが、さすが雪国、北の大地!極寒の冬に頼りになる地下鉄のすばらしさといったら、他のエリアの比ではない。東京に比べると、路線も3つしかないので非常にわかりやすい。

 誰かに今「路線図を描いてみろ」と言われたら、10秒で描ける。「ひとつずつ駅名を入れろ」とか面倒なことを言われたら、仕方ねえなぁ書いてやるよ、とニタリ笑って10分あれば書ける(これは多分ウソ)。まあそんなことを強制されることはないと思うが。

 札幌市内中心部にはそんな市営の地下鉄があり、路面電車も走っている。もちろんJRもある。そこでだ。移住してきたわたしにとっては、それらはすべて「電車」。縁あって、この市営地下鉄が発行する「Withyou」という由緒ある冊子の執筆を担当しているのだが、キャッチコピーで「電車」と使った時に、発行元から表現を変えて欲しいというご希望が出た。

 「電車だけだと思われるので」「地下鉄もあるので」と言われ、自分的にはよくわからなかったけど、結局「電車」というワードそのものを使うのをやめた。しかしある日、札幌市民のこんな言葉を聞いた。

「札幌の人って基本的に、地下鉄、市電、JRとしか言わないかも」

 ひえええ。なるほど。それで合点がいった。もちろん個人差はあると思うが、年配の方などはいまだに感覚的にではあるがJRは「汽車」。そこからの「電車」への言葉の発展はなく、他の民間鉄道会社がないため、単純に地上を走るものは「汽車」から現在の「JR」呼びなのだそう(仮説だけどね)。

 ちなみに「市電」は「札幌市電」の略。

 もっと面倒くさいことをいえば、2020年4月から上下分離方式を行っており、

施設と車両の保有設備は、札幌市交通局

なのだが、

路面電車の維持運行・施設車両の維持管理は、札幌市交通事業振興公社

が行っているため、「市電」という表現は避け、「路面電車」を通称としている。どうだ。そんなことを知ってるなんて、偉いだろう。今、間違いのないようにWEBで確認しながら書いたんだぜ。ういうい。