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  • 執筆者の写真KANAZAWAyuuki

す「スケート」

更新日:2022年6月10日


 子どもの頃からよくスケートをした。生まれた金沢市には当時唯一のスケートリンクがあって(今は閉館)、親戚が経営していたので、大きくなってからもちょこちょこ滑りに行っていた。完全なる室内リンクで、周りの壁と手すりにつかまりながら、なんとなく滑って、男の子と一緒の時にはあまり滑れないふりをした。女の子と行く時には、バックでも滑った。そんなもんだ。でもその程度に、わたしは滑れた。

 それから何十年もたって、栃木県栃木市にあるスケート場に行ってみた(こちらも現在は閉鎖)。なんと外にある。え?どういうこと?どこにつかまるの?!とビビっているのはわたしだけで、地元の人にとってはそれが当たり前のよう。

 なんと天然氷だというから、その環境のレトロ感も半端ない。四方八方、山と田んぼ。何にもありゃしない。小さな建物内に受付があり、おじさんにお金を払うだけ…

「ここは銭湯か?」

 という緩さ。タオルではなくスケート靴を借り、え、そんでこれってどこで履くの?というくらいそういう微妙な場所。靴を受け取って外に出て、3歩先は氷!ひいい。

 しかも何十年ぶりのスケート、捕まる場所もないのに、いったいどうやって勘を取り戻すのか?本来の目的は、娘に初スケートを楽しませよう!と思っていたが、本人が唯一わたしの命綱になるとは。小さい手を引いて、がくがくの足腰。あうう。

誰か私につかまる場所を。ヘルプミー。

 心身ともにヘロヘロになって終了。娘に「楽しかった?」と尋ねると、不思議そうな顔をしていたことを思い出す。楽しいもくそもあるか!と幼心に思ったことだろう(改めてこの記憶を本人に確認したら「覚えてない」と言われた…へえ…そうなんだねえ…)。

 とはいえ、この昭和感満載のスケートリンクは、この令和の時代には非常にレアで、なんと一時、市民の要望と努力により、期間限定復活したそうだ。毎年というわけにはいかないようだが、あの他にはない「極自然」は体験する価値がある。



 栃木市のスケートリンクは野趣あふれすぎたが、宇都宮市の方では室内のスケートリンクもあるのでご安心を。地域によってスケートリンクが様々だと、こうして知ったわたし。

そこで、ここですよ。札幌市。


 最初に見かけたのは、野外スケートリンク。といっても、栃木市のように野趣あふれる感じではなく、大通公園のどまんなかに、人工的に作ったリンクだ。煌びやかなイルミネーションなどの装飾をされた、んもう都会的なリンクである。2月の雪まつりには某有名スケーターが来て、オープニングを飾っていた。

 北海道内には、そういう野外のスケートリンクが冬に登場することがある。いいよね、さすが北海道。しかも地域によっては小学校のグラウンドがリンクになるというから、それはもう、何というか…悪意はまったくないが、

意味がわからない。

 グラウンドにリンク…。人口の少ない地域では、保護者がリンク整備などをして大変だという話も聞くが、何よりも子どもたちに自分たちも経験してきたことを伝えていきたいとの気持ちで、毎日の整備をしているそうだ。素敵だのう、北海道。

 ちなみに、スケートがさかんな十勝では、だいたいの子どもがスケート上手らしい。なぜながらその小学校のグラウンドにあるリンクで、体育の授業をするからだ。スキーならまだわかるけど、スケート!?と思っていたら、栃木から札幌に引っ越し直後なんと我が家の娘の学校も「スケート」との連絡がきてびっくりした。札幌市でも「冬の体育はスキー」という学校は多いけど、スケートは珍しいらしい(室内リンクが近所にあるからだそう)。

 えー、いいじゃんいいじゃん。よかったね。スケート!と娘に言ったけど「別に…」とつれない態度だった。親としては、スキーの道具を用意しなくてもよかったので、そういう意味で助かった。非常に現実的な意味で「よかったね」と言ったことは、娘には黙っておこうと思う。

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