top of page
  • 執筆者の写真KANAZAWAyuuki

の「ノーファンデ」


 18歳で高校を卒業した時から、何となく化粧を覚えてフルメイクするのが毎日だった。とはいえ、あまり念入りにする方でもなかったし、当時から10分程度しかかかっていないようなメイク。

 しかし、自分が化粧をしない、ということはある意味「公害」だとも思っていたし、全く化粧をしないやや汚なめの女子をわたしはちょっぴり理解できなかった(アレルギーなどでできない人は除くよ。ここでの話はね)。


 とはいえ、20歳やそこらなら肌そのものが美しい。誰だってだいたいは美しい。正直23歳の時に、仕事に行くのに寝坊して、遅刻だけはすまい!とクライアントの打ち合わせにノーファンデで行ったことがある。アイメイクは軽くしたが、マスクをするわけでもなく、そのまんま。

 当時は若かったし、そんな時もあるさくらいに思っていたが、半年後にそのクライアントだった男性と付き合い始め(仕事相手なのにすんません)「あの日あの時、ノーファンデだったでしょ」と言われたことがある。くそう良く見やがって…!!!そん時に言ってくれよ!と思ったが、まあ確かに目の前で言われたら仕事にならなかったかもな。



 そうして年齢を重ねるにつれて、段々ノーファンデなんて日はなくなった。もう隠すしか手段がないのである。そうはいっても、やはり個人差はある。肌のきれいな人とか、化粧がきらいだという女性もいる。

 知人は化粧品の匂いが苦手だと言っていつもスッピンだったし、そういう人はそういう人で、へえ…と思うだけでまぁ、言っちゃなんだが自分とは関係のない話。どうでもよい。しかし、自分だけはそうはいかない。隠したいものもたんまりあるし、メイクすることが自分としての、他の人に対するマナーだと思っていた。

 それが、札幌で、ある場所に行ったときに覆されることになる。


 「わたしたち、全員ノーファンデです」と言い放つそのサロン。聞けばスタッフ半分は50代というではないか。何を言ってるのだ。失礼を承知でまじまじとみなさんの肌を見ると、本当に美しい。シミやシワがゼロではないが(それは当たり前)、それを感じさせないきめが細かくて透明感のある肌だ。なんだこれ理想すぎやしないか。

 あれこれやりすぎて、不自然なくらいにシワがないとか、そういうのは正直怖い。そうではなく、毎日の手入れでの結果。このサロンには仕事の取材で行ったのだが、何だか色々気になって1時間以上話を聞いてしまった。どうやら一人一人に丁寧なカウンセリングをし、その後にこのサロン独自の美容器と、化粧品の組み合わせで体験させてくれるそう。別にそこは取材でもないのに、すぐさま3日後に予約をした。思ったらすぐ行動だ。


 その日、まずは肌チェックをしてもらい「あ、道民に多い肌質ですね」と言われて慄く。おおお、札幌在住5年でやはり肌そのものも、その土地仕様になるのだな。美容器を使って肌を洗顔していくと、そりゃもう「これって自分の肌?」と思うくらい柔らかくなっていた。なんじゃこりゃ。

 これできちんと手入れしていたら、なるほど、ここのスタッフたちのようにつるピカになるのか。納得。納得はしたものの、このスキンケアを続けるとなると、まずは今使っている化粧品を全て総とっかえしなくてはならない。今のものを消費してから…なんて思っていると、機会を逃すんだろうな。ううう、待ってろよ、ノーファンデ!

bottom of page