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  • 執筆者の写真KANAZAWAyuuki

ひ「日帰り」


 父はクルマでの旅行が大好きな人だった。GWなどの連休になると、だいたい旅行に連れて行ってくれたし、1日の休日でも日帰りでどこかに行くことも多かった。当時住んでいた金沢からはお隣である福井県や富山県、岐阜県などは当然日帰り圏内。小学生のわたしや、母を連れて色んな所へ行ったものだ。

 そんな中でも、「これって大変だったなぁ」と思ったのが、京都と新潟への日帰り。京都へはおよそ250キロ、新潟へは300キロほどで、いずれも3時間半ほどかかる距離だ。そんなに無理して行かなくてもよかったのだが、とわたし自身は思っていたが、父はそうでもなかった。

 それは、わたしが大学合格した日のこと。

 「おい、今から新潟に行くぞ」と父が言い放った。え?さっき朝刊で合格がわかって、皆で小躍りしたばかりですけど何か?みたいなタイミング。何しに?と聞くと「お前が住む部屋を決めに行こう」という。



 今でこそ、自分も親になったからその意味はわかるが、当時は「えー、今日じゃなくてもよくない?」程度の感覚だった。しかし、現実的には父の言う通りで、合格が分かった途端、1人暮らしのアパートなどは一気に埋まっていく。希望の物件は早めの決定が必要なのだ。

 今の時代だと、WEBで先に検討をつけておいて、実際に部屋を見ずとも契約するなんてこともあるが、当時はそんなネットも普及していなかったので「行くしかない」のである。


 そんなこんなで、急遽、新潟へ日帰り物件探し旅。昼過ぎには新潟に到着し、そのままアポも取っていない一見の不動産屋で「部屋探してます」と言い放ち、そのまま数軒見た後に即決定、契約までを済ませた。恐ろしいスピードである。


 その後も日曜日に突然「京都に行くぞ」と言い出した日もあった。これも「合格の御礼参りだ」と北野天満宮へ行く、という目的のみ。1年前のお守りを返却した。ありがたい。

そして、ようやくわたしが新潟に引っ越し、父が安堵したであろうある日、今度はわたしが言い放った。

 「明日の入学式に必要な書類、金沢に置きっぱなしだ。ごめん」

 なんという親不孝者か。とっくに郵便などでは間に合わない状況だったため、父はクルマを走らせた。書類を1枚届けるためだけに(翌日は父仕事のため日帰り)。

 愛である。いや、わたしが阿呆なだけか?


 札幌に移住しても相変わらず阿呆なわたしではあるが、父並みの北海道民「日帰り圏内の広さ」には驚かされることが多い。札幌から旭川市や帯広市は平気で日帰りする。ただ、距離的にはこの辺りはまだ近い方で200キロ以内ではある。しかし、およそ金沢~新潟間と同じ札幌~釧路、または稚内などは4時間半から5時間ほどかかる。

 なぜか。

 北海道の高速道路は、全ての地域に通っているわけではないからだ。前の「こ」でも高速道路の話はしているが、北海道内は本州に比べると「これ、もう高速道路並みじゃん」というような広くてまっすぐな道が多い。もちろんスピードは出しちゃいかんけどね。だからこそ、時間がめちゃかかる場所も多いのだ。

 にもかかわらず、結構みんな日帰りすんのよね。変態か。2時間くらいなら当たり前、3時間も行けちゃう、4時間だったら泊まりたい、でも泊まるなら5時間以上でもクルマ移動するけどなにか?みたいな感じである(もちろん個人差あり)。


 でもね、注意事項。道民でない人が旅行で道内をクルマで移動するときには、真似してはいけません。慣れない道の上、立ち寄りたいところもいっぱいあるのに、日帰りには限度があります。ちゃんと時間と距離を調べてねお願い。

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