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  • 執筆者の写真KANAZAWAyuuki

う「運転」

更新日:2020年4月6日


 冒頭からはっきりと申し上げるが、わたしは運転が好きだ。ただし4輪の乗用自動車に限る。2輪のいわゆる「自転車」や、バイクは対象外。更に4輪といっても雪の上などを走る「4輪バギー」や遊園地にある「ゴーカート」はそれに含まれないので注意すること。

 なんて言ってみても別にライセンス持っているわけでもないし、はたまた夜の峠を攻めるわけでもない。単純にクルマの運転は好き。それだけ。


 20歳の誕生日に運転免許を取ってから、クルマ好きの父に駄々をこねて買ってもらったインプレッサであちこち出かけた。県外の大学に行っていたから、たまにクルマで実家の金沢に帰ると、わたしのクルマで外食に行くことが多かった。なぜなら。

父が、酒を飲みたいからだ!

 母は運転免許を持っていないので、クルマで外食した際には当然父はお酒が飲めない。それが嫌で外食をほとんどしなかったというから、阿呆にもほどがある。

まぁわたしの父だからな、そうだろうな。


 そしてついに娘が免許を取ったわけだから、そりゃあ「よし!夕飯食べに行こう!酒を飲むぞ!ビールを注文だ!!」と張り切るわけで。わたしはわたしで、まだ酒よりも運転が楽しかったし、父の喜ぶ顔が嬉しかったからそれでよかった。

 そんな行き来の間に、運転技術のあれこれを父から教わったように思う。対向車のライトがまぶしくて前が見えない時には、まずはセンターラインを見ろ。とか、高速道路を走るときにはハンドルを持つ手を下の方にして、肩の力を抜いて安定させろ。とか。そういう些細なことばかりだったけど、今のわたしにずっと根付いている。


 そうしてかなり女子にしては、クルマを乗り回していた方だったと思う。3時間以上かけて実家に帰り、父を乗せてご飯を食べに行ったり、ガソリンスタンドまでドライブして金を払わせたりしていた。


 だけど、その年の秋に、父は亡くなった。だから教えてもらった時期なんて、たったの半年だった。悔やんでいるのは。

 一緒に乾杯!をほとんどしなかったこと。

 運転はわたし、パパが助手席。

 それがその当時、幸せだった。だから、それでよかったんだけど。


 札幌に引っ越した時、クルマは手放した。札幌でクルマを運転したのは、昔、仕事でこっちに来ていてレンタカーで回っていた時くらいか。

 札幌の中心部はやたら一方通行が多くて、かなり戸惑う。しかも3車線とか4車線とか広いったらない。4つも車線があるのに、一方通行ってどういうことだ!

どこを走ればいいんじゃ!

とびびる。そのせいなのか路上駐車も多く感じるし。


 実家の金沢は城下町だったから、道は狭いし、曲がり角がたんとあるがや(わかる人だけわかればいいです、このセリフ)。とにかく、札幌で運転するのはまだまだ慣れない。

 と言いますかね、わたし札幌で運転しなくなったんですよ。クルマないし、そんなに必要ないし。そうなったらね、生活が一変しました。わかりますかね、これ。

いつでも酒が飲めるんですよ。


 ああ、父に教えてあげたかった。今なら、声をあげて伝えられるのに。

一家で札幌に引っ越そうよ!!

 別に誰も聞いてないけどね。パパは聞いてるかな。サッポロクラシックもあるよって言ったら「よし!引っ越そう!」って言うかな。

…言うよね。

誰の父だと思ってんだ。

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