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お「大晦日」

 

 子どもの時、1年で最も楽しい1日が大晦日だった。


 家族みんなで大きなスーパーに出かけて、カートを押す父と、買うものを選ぶ母。「好きなおやつを選んでいいぞ」の父の声に、売り場へ走る姉とわたし。じゃあこういう時はファミリーパックを選んだ方がいいな、うんうん、とやや過分な判断で時々カゴに入れてもらえないことも(そういう時は6歳上の姉が的確なアドバイスをくれて、事なきを得る感じ)。

 まな板よりも、大きな板状のお餅を買う。

 それが固くなる前に、と自宅に帰ってすぐに包丁で切るのが父の仕事。時々大きさが違う、四角のお餅が切り取られるたび、何だか特別感があって「これわたしの!」と指さした。

 

 夜遅くまで起きていても怒られず、ご飯の後に年越し蕎麦を食べる。

 家族全員が七味を順番にかけ、蕎麦の1口目を全員一緒に「せーの」で食べると、来年も幸せに過ごせる…なんてのを本で読んで。その通りにしたいのに、父がさらっと

「いただきまーす」

と食べ始めたから、大泣きした夜もあった。仕方ない。蕎麦はのびるもんな。

 12時を過ぎると、母が親戚に電話をかけ始めて「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と話す。一通りの挨拶がすむと、近所の神社へ参拝。


 夜中に雪道を歩くという、この新鮮なひととき。父と手をつなぎながら、わだち(雪国の人ならわかるかしら…)を傍若無人に跳ね回る。そのころ住んでいた金沢はたくさん雪が降った。日本海側だから湿気も多く、びしょびしょの雪になることも多い。それを踏みはねさせて神社へと向かい、母に怒られながらも、近所の人に会って「あらー」と互いの家族が頭を下げる。その繰り返し。

 そんな、1年にたった一度の特別な夜。

 それが大晦日。


 あれから何十年もたった。札幌で大晦日を迎えるのは、今回が2回目。

 2回目の今夜は、こうしてPCに向かい大人しく好きなことをして過ごしている(サッポロクラシックがすでに何缶空いているかはご想像にお任せ)。

 札幌で初めて大晦日を過ごした去年は、北海道民の皆さんに誘われて外で過ごした。

 北海道は大晦日が、一番!

と言っていいほど盛り上がる。おせちを食べるのは大晦日だし、お刺身やお寿司なんかのご馳走三昧も31日の夜に食べるのが当たり前。

 都内のカウントダウンとかのように盛り上がるのか?といえば、そうでもなく(それはそれなり)。わかりやすく言えば、クリスマスではなくイブに盛り上がるのに近いのかも。元旦などに親戚が集まるのが、大晦日なのか?

 いずれにせよ、大晦日が一番の盛り上がりをみせるのが北海道。


 昨年はいきつけのお店に行って、飲んだくれた。みんなでカニやエビなどをはじめ、お刺身はもちろん、美味しい鍋や、私の希望でお好み焼きを作ってもらったり(超わがまま)マスターに鮨を握らせたり。「へい!おまち!」と置いてくれたサーモンが、置いた途端コテンと倒れるその脱力加減は尋常じゃなかった。

 盛り上がるだけ、盛り上がり、贅沢三昧をして大晦日を過ごし、年を越す。飲んだくれて、どのくらい飲んでるのかよくわからなくなったころに日が変わる。お店から北海道神宮の頓宮に歩いていき、参拝した。

 踏み固められた雪道を、転ばないように歩いて進む。夜中の参拝はやっぱり特別でなんだか楽しい。寒い中多くの市民が並んでいるけど、

それもそれで酒の酔いがやや覚めてよかったりもするし、よくなかったりもする。なぜなら店に戻って、酒が足りずまた飲み始めるからだ。

 自宅に帰ったのはもう、朝だったっけ。


 札幌での大晦日が、2回目となる今年は先述した通り自宅にいる。

 おせち料理は、作った(一部はうそ。買った)。重箱に詰めた。つまり、ご用意はした。でも家族が「えええ、夜にそんなに食べられないでしょ」とあっさり言うので、北海道に習っての大晦日は過ごさなかった。大人しく年越しそばを食べて、紅白歌合戦が終わり、まもなく除夜の鐘が鳴ろうとしているところ。

 それにしても、昔は「なんでこんなに大晦日はしんみりしているんだろう」と感じていたけど、それって本州だけだったのかも。

北海道って、大晦日も明るい。ぶっとばしてる。

 ああ、カラダが続く限りは、札幌らしい年越しをしたいな。北海道のおいしいものをたらふく食べて、飲んだくれたいな。


 そんなことを書いていたら、今、年は明けたようだ。

 明けましておめでとうございます。

 今年は、北海道らしい大晦日を過ごしたいと思う。



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